春節 in 柳州

 2月17日。

朝10:30のバスで桂林から柳州に向う。

柳州は英国留学中クラスメートだったヤンフィの故郷。

普段、彼女は上海で働いているのだが、春節で帰省しているということなので彼女の家にお世話になることになった。柳州は広西チワン族自治区の第二の都市。

しかし、地球の歩き方「中国」の中では特に紹介されていない。

今まで行って来た場所は観光地か大きな都市ばかりだったのでどんなところか非常に楽しみだった。

 

午後1時過ぎに柳州に到着。

無事バス停でヤンフィを見つけることができ、彼氏の車で昼食に連れて行ってもらう。

米粉を使った麺類や炊き込みご飯など地元の料理をごちそうになる。特に気に入ったのは巻粉という米粉の生地で少し甘めの牛肉を巻いた料理。炊き込みご飯も間違いない味で日本人好みだと思う。

ちなみに柳州の特産品の一つは棺桶。

そのため、市内では棺桶の形をしたキーホルダーが売られている。これはけして悪い意味のものではなく幸運を呼ぶ御守りのようなものとして売られている。

街を歩いてる途中にヤンフィからお土産としてキーホルダーを買ってもらった。好きなものを選ぶように言われたので、「一路顺风」と書いてあるものを選ばせてもらった。この旅行中にたびたび耳にした好きなフレーズである。

 

棺桶のキーホルダー。装飾から見るに本当の棺桶はお金持ち向けか。

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その後カフェでのんびりした後、彼女の家族(親戚を含む)でご馳走を食べる。

テーブルに収まらない数の食べ物が運ばれてきて、間違いなく今年一番のご馳走だった。本当にごちそうさまでした。

 

夕食後は彼女とその彼氏に着いて同窓会のカラオケに参加。しかし非常に残念なことに歌える曲が見つからず…。

日本語の曲が少ないのはともかく、英語の曲でQueenAerosmithの名曲すら見つからず、自分のレパートリーのなさを嘆く結果となった。まさか一曲も歌える曲が見つからないとは…。

中国や英語の歌をもっと歌えるよう頑張ろうと思った。柳州での屈辱である。

 

2月18日。2015年春節前夜。

ヤンフィとその友達と飲茶ブランチ。

お茶を飲みながら10種類ほどの料理を食べる。

ここでも米粉を使った料理が多く、米どころ新潟出身の私は勝手に親近感を抱く。

昼食後は、市内にある市場や古い城門、30階にある回転式展望レストランなどに案内してもらう。

 

柳州は、Uの字を描いて流れる大きな川を中心に街が作られており、川沿いの景色は非常に美しい。カルスト作用で生まれた小さな岩山が市内にいくつもあるので、桂林の景色に似ている。それでいて観光客が少なく街が綺麗なので個人的には桂林よりも格段にいい街だと思う。

 

市内を散策した後は田螺のような貝を食べる。

これも柳州のご当地グルメらしくピリ辛の味付けが美味しい。ビールといっしょに食べたい一品だ。

 

その後は、家に戻り夕食。夕食の前には、爆竹を点火。

大きな音が各家から聞こえ、これが大晦日(春節の大晦日ことである。以下同)の習わしらしい。

オードブルとしてスープを飲んだ後に、手作りの料理が大皿で6品ほど並ぶ。地元の料理だというジャガイモと厚切り豚肉のミルフィーユ煮は食べごたえがあり美味しかった。

またヤンフィいわく、中国の大晦日の料理ではどこの家庭でも一匹ものの魚の料理が出て、その頭と尻尾は食べずに残しておくらしい。これが次の年の福を招く風習の一つらしい。

これを後に友人に聞いてみたところ、次の年もゆとりがありますようにという意味の「年年余有」という熟語の「有」の発音が、「魚」と同じであるため、「年年余魚(有)」という縁起担ぎで魚を残しておくらしい。

首尾一貫した決まりのいい年になるようにということかなという僕の予想は全く外れていた(笑)

また、お父さんから茅台酒を飲ませてもらう。

白酒の中で最高級の貴州産のお酒。ありがたく頂戴した。

 

友達の家庭での料理。レストランの料理より油っぽくなくて好み。

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夕食後少しのんびりしてから、車で川沿いの中心地へ。CCTVの年越し番組(日本でいう紅白歌合戦のような番組)が広場で放送されており、屋台や花火をする人たちで賑わっている。

都市部では春節を祝う花火が禁止されていると聞いていたが、ここ柳州は無関係のよう。私は手持ちの打ち上げ花火とろうそくの熱気で空に浮いて行く気球のようなもの(正式な名前は何というのだろうか?)を楽しんだが、花火の種類は本当に様々。手持ち花火から爆竹、ねずみ花火、大きな段ボールに入っている連続打ち上げ花火などなど。ほとんどが日本のものより大きな音が出るように作られているように思えた。そして皆自由に花火を楽しんでいるので、ぼーっとしていると火傷するのではと思うほどであった。

 

住宅街でも構わず花火。新年を祝うのに細かいことは気にしてられない。

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またその広場の側では、川の上で行われる噴水ショーを見ることができた。西安に引き続きの噴水ショーであったが、柳州の川と山を背景に行われるこれはまた別な趣があった。

ヤンフィいわく、噴水ショーは中国の多くの都市で見られるとのことで、これを聞いた私は、新潟の信濃川でこれをやれば少しは観光客を呼べるのではなどと考えていた。

 

その後、30分ほど川沿いの道を散歩。

夜の柳州の川沿いは本当に綺麗(大晦日というのもあるのだろうが)。川沿いの山には幅の広い滝が作られており、ライトアップられていて非常に美しかった。大晦日はまだまだ続く。家に帰ってからは皆で年越し餃子作り。みんなでこれを食べてようやく新年を迎えることができる。新年快乐!日付をまたぐ頃が花火のピークであり、外がうるさくて家の中でもなかなか話すことができないほど。僕たちも外に出て、爆竹や打ち上げ花火を使い切る。中国の春節は本当に賑やかだ。

 

柳州の夜は美しい。

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2月19日。中国のお正月1日目。

朝起きて外に出ると昨日の花火の残骸だらけ。どれほどの花火が一晩で使われたのかを物語る。

朝食を食べた後は、ヤンフィの家族に市内を案内してもらう。

公園で卓球をしたり、ヤンフィの高校を見たり(下宿もあり非常にでかい)、龙潭公園という池がいくつもある大きな公園(中国の基準では普通らしい。大国のスケール感恐るべし)を散歩したりした。

そして家に戻り、昼食を食べて16:05成都行きの列車に乗るために駅に向かった。

 

春節中の龙潭公園。お店が休みなので、園内は人人人、、、。

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柳州にはたった2泊しかしなかったが、ヤンフィやその家族、彼氏、友達と多くの人々に会うことができ、春節を過ごしたということもあり今までで1番楽しく居心地の良い街であった。

個人的には、桂林よりも断然柳州に長く滞在するべきだと思った。

街を流れる川の水質自体は桂林よりよほど綺麗だし、なにより観光客がほとんどいない。その上、無料で楽しめる場所が非常に多い。市内には多くの公園があり、博物館や体育館などの公共施設に無料で入れる。さらに市民は市内に設置された自転車を無料で使えるようになっている。緯度が低く南国のような気候であるため、冬でも暖かく緑も豊かだ。ヤンフィのお父さんは、柳州は中国で住みやすい都市ランキングのトップ10入りしたこともある街であると言っていた。今まで訪れてきた都市と比べると綺麗で人口過密化が進んでおらず、それも頷ける。

ヤンフィのおかげで、僕にとっての柳州はもっと長く滞在したいと思えるほど居心地のいい街であった。